
立食パーティーなどで、スピーチをするとき、会場内が、ざわついていることがあります。
そんなとき、あなたはどうやって、自分の話を、聞いてもらいますか?
声を枯らして、大声で話すのも、1つの手です。
でも、実は「その逆の手もある」という話です。
今は亡き人間国宝、5代目の柳家小さん一門が、小学生たちの前で、落語をしたときのエピソードです。
小学生なんて、まじめに落語を、聞くわけがありません。
弟子たちが、高座で一席演(や)っても、演者を無視して、ザワザワとおしゃべりばかり。
若手たちは、次々と撃沈していき、あげくは「今日のお客は、いくら子どもでも、ヒドすぎる・・・」と、文句を言う始末。
「自分の芸が未熟なのを、お客のせいにするねぇ!」
最後に高座に上がった、小さん師匠。
ザワついたままの小学生の前で、ボソボソと小さな声で、話し始めます。
すると、おしゃべりをしている子どもの数が、1人減り、2人減り・・・。
気がつけば、いつの間にか、子どもたちの全員が、耳をそばだてて、小さん師匠の噺(はなし)に、聴き入っていたのです。
実は小声には、「説得力を増す」という、効果があります。
それまで大きな声で、しゃべっていた人が、「実は、ここだけの噺」と、突然小声で話し始めると、相手はグッと話に、引き込まれます。
こうした、「ワザと小さい声で、話すと注目される」という効果を「沈黙効果」と、呼びます。
「人に話を、聞いてもらう方法」として、ちゃんと認知されているのです。
その人やそのときの様子などを考えて、時には小さい声で、話してみましょう。
大きい声より、小さい声のほうが、真剣に耳を傾け、よく聞いてもらえることでしょう。
