年齢に応じた心づかい 1013


病院に行ったときのことです。
看護師さんが、60歳ぐらいの患者さんに、次にどこに行って検査をするかを、この地方の方言を使って、優しく教えていました。
その患者さんは、方言なのでよく理解できた様子で、笑顔で対応していました。

別の看護師さんが、80歳ぐらいの患者さんに、大きな声で患者さんの家庭での過ごし方等を、丁寧に尋ねて、記録していました。
その患者さんは、大きな声だったので、よく尋ねていることが聞き取れ、家庭での様子を一つ一つ詳しく話していました。

このように看護師さんが、その人の年齢等に応じた、温かい心づかいある対応をしていたことに、驚くとともに、感心しました。

毎年、たくさんの初詣客でにぎあう、成田山新勝寺(しんしょうじ)があります。
その参道に「櫻せんべい阿部商店」という、おせんべい屋さんがあります。

この店は、参道の顔の一つとして、成田山を訪れる人たちから、愛されているのです。
名物は、堅焼きせんべいなのですが、このお店のせいべいには、お客様のことを考えた、ちょっとした心づかいがあります。

どんな心づかいだと、思いますか?
このお店、実は堅さの違うおせんべいを用意し、「年齢別」の表示をして、販売しているのです。

店内に並ぶおせんべいには、たとえば「35歳くらい げんこつ600円」「70歳くらい かきもち500円」などの表示がされています。
おせんべいの堅さの調節は、長年の蓄積による水分調整が、ポイントなのです。
乾燥時間を長くして、水分を減らすと、噛み砕きやすいおせんべいになるのだそうです。

この配慮、もともとは「おせいべいが、堅すぎる」という苦情があったのが、きっかけなのだそうです。
苦情があったときに、「堅焼きおせんべいのお店で、おせんべいを買っておきながら、そんな苦情を言ってくるお客様は、どうなの?」とは思わず、「それなら、お客様が安心して買えるようにしよう」と、前向きに考えたのです。

おせんべいが、美味しいのはもちろんのこと、人の年齢に応じた、温かい心づかいがあることに、さらに感動させられるのでしょう。

どんな年齢の人も、心から大切にして、常に年齢に応じた心づかいで、優しく接していきたいものです。

2021年11月14日