一つ一つ心を込めて 1189


ある禅師が、「禅において最も大切な心がけは何か」と禅僧に問われて答えたのが、次の言葉です。

「平常心これ道」

「平常心」という言葉は、一般的によく使われますが、語源は禅にあります。
禅では「びょうじょうしん」と読みます。

また、一般的に使われる意味と、禅でいう意味も多少異なります。
一般に使う平常心は、「ふだんと変わらない心」といった意味があると思います。

一方で、禅でいう平常心は、「日常的に行っている食事、掃除、座禅、瞑想、洗顔といったことを、ふだんと変わらない気持ちで、一つ一つていねいに行っていく」を意味します。

何か心配事があったりすると、ともすると人は、ぼんやりした状態で食事をとります。
そのため、ご飯を箸から落としたりします。
また、掃除などの家事にも集中できません。

「そうではいけない」というのが、禅の考え方なのです。
「どんな心配事があろうとも、食事をする時には食事に集中し、掃除をする時には掃除に一心をこめることが大切だ。このような平常心を心がけていくことで、何ごとにも動じない心がつくられていく」と考えます。

どんなに小さな事でも、一つ一つ心を込めてやりましょう。
ふだん通りにやることこそ、最も大切な心がけなのです。

2025年04月11日