幸せが週に1回やってくる 1178


エッセイ『聞く力』など、大ベストセラー作家である阿川佐和子さん。

何しろ、お父さんは作家(=阿川弘之)でしたし、著書もたくさんあって、さぞや、書くことは得意なのだろうと思いきや、「出版社から、連載エッセイを頼まれたとき」には、引き受けるかどうか、たいそう悩んだのだそうです。
阿川さんが悩んだのは、もしかしたら、子どもの頃に、締め切りの前にイライラしているお父さんの姿を見ていたからかもしれません。

果たして、連載でエッセイを書くことができるのか?
連載で穴を空けてしまうのではないか?
そもそも、書くことがすぐになくなってしまうのではないか?

いろいろ悩んだ阿川さん。
親友であり、すでに連載エッセイを経験している女優の檀ふみさんに、「連載エッセイはツライのではないか?」と、疑問をぶつけてみたとのこと。
阿川さんから相談を受けた壇さんの回答は、次のようなものでした。

「確かに、毎週連載の原稿を書くことは、それはそれはツライ。本当にツライ」

その言葉を聞いた阿川さん。
あっ、やっぱりそうなんだ。
これは、連載の依頼は、お断りしたほうがいいかな、と思ったのです。
しかし、壇さんは、こう続けたのです。

「でも、週に1回、必ず幸せになれる!」
「連載の原稿を書き終えた日に、『これほど幸せな気持ちはない』というほどの思いになる。そんな幸せが週に1回、必ずやってくるのは、とても楽しみだった」

この言葉を聞いた阿川さん。
「1週間に1回、そんな幸せがくるなんて素晴らしい!」と考えて、週刊誌からの連載エッセイの依頼を引き受けることにしたのだそうです。
そして、実際に連載エッセイを経験してみて、阿川さんは、壇さんの言葉にウソはなかったと思ったのです。
不安はあったけど、やってみたら素晴らしいことが、待っていたのです。

ツライことでも、幸せが週に1回やってくる、と考えると、楽しみに変わるのです。
そして、エッセイを書き続けることで、大きな宝を得ることもできるのです。

2025年01月24日