何気ないことにも理由がある 1019


皆さんは、「盗人(ぬすびと)の昼寝」ということわざを、ご存じですか。

盗人が、ただゴロゴロと昼寝している様子を見ても、その昼寝は、ただ眠くなって寝てしまっただけで、特段の意味があると、すぐに想像できません。
ですが、泥棒は暗闇に紛れて忍び込んで、盗みを働くものが多いので、昼寝は夜のために、身体を休めて準備するためだったと考えると、ただのんびりと睡魔に負けて、寝ているのとは違います。

夜の盗みの当てがあるから、昼寝をしている。
だから盗人の昼寝も、当てがある、ということわざが、生まれたわけです。

このことわざは、「一見、何の目的もなさそうに、見える行為にも、実は、それ相応の狙いや理由が、あるものだ」と、いう意味です。

普段、何気なく受け入れていることも、実は、ちゃんと理由があるのです。
たとえば、「凧あげ」という遊び。
あれ、なぜかお正月に、やりますよね。

考えてみると、別にいつやっても、よさそうなものなのに、なぜ、お正月限定のようなイメージが、あるのでしょう?
実はあれ、江戸のころ、仕事そっちのけで、凧あげに夢中になる庶民たちに、腹を立てた幕府が、「正月以外は、凧あげをしてはならん!」と、禁止令を出したからなのです。

庶民たちは、お正月になるのを、心待ちにして、凧をあげたのです。
さらに言うと、そこまで庶民に愛された凧あげは、明治時代になると、急速に人気がなくなってしまいます。

その理由は、電気が普及して、あちこちに電線が、張りめぐらされたからです。
凧あげをできる場所が、少なくなってしまった、からなのだそうです。

慣例になっていることを、ただ受け入れるだけでなく、『なぜそうなのだろう?』と、一歩踏み込んで、考えてみましょう。
意外な理由が、わかるものです。

何気ないことにも、必ず理由が、あるのです。
そのことに、もっと気づける自分に、なりましょう。

2021年12月23日