眠くなったら居眠りしよう 1156


「昭和の大名人」とまで呼ばれた、落語家の古今亭志ん生。

お酒が好きで、酔っ払って寄席の高座に上がって、居眠りをしてしまい、あわてて弟子が起こそうとすると、お客のひとりが、
「寝かせといてやれ、落語をしている志ん生は、いつでも見られるが、眠っている志ん生は、めったに見られねぇ」
と言ったという、有名な話が残っています。

人間、眠気には勝てないもの。
授業中や仕事中、気が遠くなるほど眠くなった経験は、あなたにもあるでしょう。

浄土宗の開祖、法然(ほうねん)。

比叡山延暦寺で修行をしていたものの、40歳をすぎてから「寺にこもって修行をするのではなく、一般庶民を救うのが、仏教の本来の目的なのではないか」と思い立ち、山を下りて、京都の街で仏の教えを、説くようになったという人です。

あるときのこと、法然がたくさんの人たちに、説教をしていると、ひとりの男が、こんな質問をしました。
「私は、念仏を唱えている最中に、いつも眠くなってしまいます。
どうしたらよいでしょうか?」
このバチあたりな質問に、法然さんは、こう答えたそうです。

「眠くなったら、居眠りをすればいい。
少し眠って頭がハッキリしたら、念仏の続きを唱えればいい」

「念仏の最中に、居眠りなんて、とんでもない!」と言われると思いきや、まさかの「居眠りくらいしていいよ」発言。
さすが、庶民のために山を降りた男、法然。
堅っ苦しいことを言わないところが、庶民の味方です。

どうしても我慢できない眠りが、襲いかかってくるのです。
人は、眠りに勝てないのです。

そんな時は、遠慮なく少し居眠りしましょう。
頭がスッキリしたら、また頑張ればいいのです。

2024年08月23日