「あなたのためなら、どんな事でも協力します」と、言う人がいます。
この言葉を聞くと、とてもありがたいと思います。
このように言ってくれる人は、多いのですが、実際本当に困った時に、協力してくれる人は、残念ながら少ないのではないでしょうか。
「今はどうしても、協力できません」「申し訳ないですが、他を頼ってください」「私たちも状況が、厳しいのです」などと、逃げるのです。
つまり、人のために尽くす、覚悟がないです。
映画や浪曲で、おなじみの清水次郎長(しみずのじろちょう)のエピソードを、紹介します。
幕末から明治にかけて、活躍した侠客(きょうかく)(=任侠(にんきょう)の世界に生きた人)で、大政(おおまさ)、小政(こまさ)、森の石松などの子分を従え、東海道の広い範囲にわたって、勢力があった大親分です。
明治になってからは、地元の開墾や英語の私塾を作るなど、実業家でもありました。
この大親分に、ある時、勝海舟が、こんな質問をしたそうです。
「次郎長さん、おまえさんには、自分のために命を投げ出す、子分が何人くらいいるのかね?」
次郎長の度量を試すような、挑戦的な質問です。
この質問に対する、次郎長の答えは、意外なものでした。
「そんな度胸のある子分は、1人もおりません」
えっ? となる勝海舟。
しかし、次郎長は、続けてこう言ったのです。
「ですがね。あっしは、子分のためなら、いつでも命を、捨てますよ」
この言葉を聞いた海舟は、思わずうなり、次郎長の器の大きさに、感服します。
次郎長は、「自分のために、子分に命を捨てさせるような事はしないが、その逆ならいつでも覚悟は、できている」と、言い切ったのです。
下の者から、絶大な信頼を得る「本物のリーダー」は、自分を支えてくれる人間に対して、無条件で覚悟を、決めているのです。
人のためにつくす、覚悟を決めて、部下や人を大切にして、生きたいものです。