優しいことは気づかれずにしよう 1042


「佐賀のがばいばあちゃん」で有名な島田洋七さんのエピソードです。

運動会の日、他の子どもたちが、家族でお昼のお弁当を食べているとき、洋七さんが1人教室で、質素な弁当を広げていると、担任の先生がやってきてこう言います。
「おう、洋七、ここにいたのか。あのな、先生、さっきから腹ぐあいが悪くてな。お前の梅干し入りの弁当と、換えてくれんか」
取り換えた先生の弁当には、ウインナーやエビフライなど、普段は食べられない、豪華なおかずがたくさん入っていて、夢中で食べる洋七さん・・・。

それから1年後の運動会の日。
また1人、教室で弁当を食べようとしていると、また先生がやってきて、「おう、洋七。今年も、ここで1人か。先生、腹が痛くなってな。また、弁当を換えてくれるか」

さらに次の年の運動会の日。
担任は女性の先生に、代わりましたが、昼休み、またまた1人で教室にいると、「洋七君。ここにいたの? 先生、お腹が痛くなっちゃって。お弁当換えてくれる」

そうです。
先生たちは、腹痛のフリをして、毎年、豪華なおかずのお弁当をご馳走してくれていたのです。

小学生だった洋七さんは、「この学校の先生は、運動会の日になると、お腹が痛くなる」と不思議に思っていたそうです。

彼が真相を知ったのは、小学6年生の時。
このことをがばいばあちゃんに、話したときでした。
「それは、先生がわざとしてくれたとよ。それが本当の優しさと」

先生たちの優しさとは、洋七に気づかれずにやることでした。
他人に気づかれずにやることこそ、本当の優しさなのです。

2022年06月04日