
あなたの周りの人で、今苦しんでいる人は、いますか。
今苦しんでいる人が誰か、気づけることは、とても大切なことなのです。
気づけることは、その人に対する優しい目を、向けることができる人なのです。
新聞を飛ばしてしまった、配達員の名は、河瀬さんといいます。
この河瀬さん、東京のある大企業に勤める、エリート社員でしたが、35歳の時にトラブルに巻き込まれて退社。
その後、自分で事業を興しますが失敗し、何もかも失って、生まれ故郷である、北海道に戻ってきたのです。
そこで、生活のために始めたのが、新聞配達のアルバイトでした。
その日は、朝から猛烈な吹雪。
何しろ北海道の吹雪ですから、それはもう激しいものです。
すさまじい風と雪で、自転車の車輪をとられて、転んでしまい、積んでいた新聞が、吹き飛んでしまったのです。
宙に舞い上がる新聞。
それを必死に、追いかける河瀬さん。
でも、半分以上の新聞は、吹雪の中に消えてしまいました・・・。
ほんの少し前まで、大企業でバリバリ仕事を、していたのに。
今の自分は、吹雪の中で、新聞を追いかけている。
その場で地面に突っ伏して、泣いてしまいたい・・・。
そう思う気持ちをおさえて、河瀬さんは、新聞配達所へ戻り、何が起こったかを正直に話して、店主に詫びました。
この時、店主が言った言葉を、河瀬さんは「決して忘れない」と語っています。
打ちひしがれる河瀬さんに、店主はこう声を、かけたのだそうです。
「河瀬さん、大丈夫、大丈夫、あわてないでも大丈夫です。本当にひどい吹雪ですねぇ」
吹雪で凍りついた心を、毛布で包み込んでくれるような、温かい言葉です。
この店主、そう声をかけると、何ひとつ文句を言わず、再配達につき合ってくれたのだそうです。
河瀬さんは、こう言っています。
「あの時、店主が温かい言葉とともに、自分に寄り添ってくれたことは、決して忘れない。だから私も、逆境の真っただ中にいる人がいたら、その人が孤立しないように、寄り添ってあげることにしています」
その後、河瀬さんのもとに、尊敬していた昔の上司から「お前の才能を人事総務で、活かしてみないか」という電話がかかってきて、彼は再びビジネスの表舞台へと、返り咲きました。
現在は商品プロデューサー、セールスクリエーターとして独立し、セミナーを主催されたり、本を出版されるなど、大活躍されています。
苦しんでいる人に、優しく寄り添いましょう。
優しい言葉や行動が、苦しみを和らげ、勇気と希望を与えるのです。
