済んだことを気にしない 1069


過去の嫌だったことを忘れずに、いつまでも気にしている人がいます。
そんな人は、毎日気持ちが晴れずに、忘れるまでに時間がかかります。

それとは逆に、すぐに忘れてしまい、クヨクヨしない人がいます。
そんな人は、気持ちの切り替えが上手く、毎日気持ちが晴々として、過ごすことができます。

松下幸之助(旧社名松下電器産業を、一代で築き上げた経営者)のエピソードを、紹介します。

ある日のこと、船を下りて波止場を歩いていた、幸之助さん。
いきなりやってきた大男に、身体をぶつけられて、海に落ちてしまいます。
急いでいるのか、気が付かないのか、そのまま行ってしまう大男。

ずぶ濡れになって、海からあがった幸之助さん。
別に怒る様子もなく、「ああ、夏でよかった」なんて、のんきな事を言っている。

怒りがおさまらないのは、一緒にいた秘書です。
「社長、大丈夫ですか。さっきの男、私が追いかけて、文句を言ってきます」と、息巻きます。
この秘書に対して、幸之助さんは、キッパリとこう言ったのです。

「馬鹿者! 今から文句を言ったからといって、私は海に落ちないで済むのか。海に落ちないで済むなら、いくらでも文句を言いに行く。だが、そんな事はあり得ない。今さら文句を言ったところで、私が海に落ちたという事実は、何もかわらないじゃないか! 先を急ぐぞ」

そう言うと、濡れたスーツを手で払い、さっさと歩き出したそうです。

すでに起こってしまった事は、とやかく文句を言っても、変えることはできません。
ならば、気にせず、次に向かった方が良い。
実に潔(いさぎよ)い考え方です。

ここで、松下幸之助さんの名言(道)を、紹介します。

自分には
自分に与えられた道がある
広い時もある
せまい時もある
のぼりもあれば くだりもある
思案にあまる時もあろう

しかし 心を定め
希望をもって歩むならば
必ず道はひらけてくる
深い喜びも
そこから生まれてくる

常に希望を持って、自分の道を、開いていきましょう。
後ろを気にせず、前を向いて、進むだけです。

2022年12月09日