人に喜んでもらおう 1074


商売をしている人で、なかなか商品が売れない、会社が儲からないと、困っている人もいると思います。
そこで、どうしたら商売繁盛するのか、そのヒントになる昔話を、紹介します。

昔むかし、ある村に「湊屋(みなとや)」という、商屋があったそうな。
何代も続いてきた、老舗じゃったが、どうも最近、儲からん。

そこで老夫婦は、あるアイデアを、思いついた。
米や味噌などを、買ったり売ったりする時に使う、軽量枡(ます)。

この軽量枡に、ほんの少し大きいものと小さいものを作り、大きい枡を「買い枡」として、仕入れる時に、小さい枡を「売り枡」として、売る時に使う事にしたんじゃ。
つまり、量をごまかして、仕入れ先から同じ金額で、大目に仕入れ、お客には同じ金額で、少なく売ろうと、考えたのじゃな。

少しずつじゃが得をして、シメシメと思っておったのもつかの間。
「どうも、湊屋さんは、勘定よりも多く品物を取られる。取引を控えた方がええ」
「なんだか、湊屋さんの商品は、最近盛りが少ない」
と、悪いウワサがすぐに広がり、店は余計に傾いてしもうた。

さて、この店には、1人のグータラ息子がおったが、ある日、この息子に嫁がやってきた。
実はこの嫁っこ、「湊屋ほどの商屋が、つぶれるのは惜しい、私が嫁入りして、立て直したい」と考えて、嫁にきたのじゃった。

嫁入り後、とうとうある日、「売り枡」と「買い枡」の秘密を知った嫁は、なんと、この枡をまったく逆にして、使う事にした。
つまり、仕入れる時は、小さい枡を使って、仕入れ先を儲けさせ、売る時は大きい枡を使って、お客に得をさせるようにしたのじゃ。

すると、
「最近、湊屋さんは、買った品物よりも、余計に支払ってくれる」
「湊屋さんで買うと、品物の量が、多くて得じゃ」
と、良いウワサが、すぐに広がった。

「取引したい」という仕入れ先が、次々と良いものを、安く売りに来る・・・。
店にはお客が、行列を作る・・・。
あっという間に、店は立ち直って、商売繁盛になったという事じゃ。
メデタシ、メデタシ。

昔から、「損して得取れ」と言います。
この昔話に出てくる商屋は、最初、それとまったく逆の事を、やってしまった。
目先のこすい儲けに、目を奪われて、「負のスパイラル」に、入ってしまったのです。

まず、自分たちではなく、お客様を喜ばせる。
そうすれば、「お金は、後からついてくる」のです。
大成功している人は、皆、その事を知っているのです。

2023年01月13日