タダでご馳走にならない 1075


「あの人はケチだから、タダで食事を、おごってくれない」と、平気で言っていませんか。
そんな人は、相手がケチではなく、本当は自分が、ケチなのかもしれません。

あるプロスポーツの人気チームでは、選手たちに「宴席などで、ご馳走になる事」を、一切禁止しているそうです。
理由は、ひと言で言えば、「借りを作らない」ためです。

例えば、料亭でタダで、ご馳走になった相手から、「今度、○○選手のサインを、もらってくれないか?」と頼まれたら、断りにくい。
他人から安易に、ご馳走になると、あちこちに「借り」ができて、結局は、本人のクビが、締まってしまうから、「ご馳走になるのは、禁止」というわけです。

笑福亭鶴瓶師匠が、銀座の高級クラブで、楽しく飲んでいた時の事です。
何しろ鶴瓶師匠、「見間違えようがない」ほど、特徴的な顔と声の持ち主なのです。
クラブで飲んでいても、とても目立ってしまいます。

すると、当然、「お近づきになりたい人」から、師匠の席に「シャンパンやワインの差し入れ」が、入る事があります。
「あちらの席に、これを」というやつです。

高級クラブのお客ですから、決して怪しげな人たちでは、ありません。
それでも、師匠はいっさい、そうした差し入れは、受けないのだそうです。

ただ、断るだけでは、ありません。
差し入れを断った後で、ニコニコしながら、その席へ行って、こう言うのです。

「どうもありがとう。でも、ボクは、芸人として、自分のお金で飲む事に、決めているのです」

そして、その席で握手をしたり、サインに応じたりと、サービスをする。
お金に関する事は、キチッとしつつ、相手へのフォローも、怠らない。
一流ですね。

お金は、たとえ少額でも、「魔物」です。
よく知った先輩が、「今日は、おごりだ!」と、言っているのに、断るのは辛いですが、キッチリしておくことに、越した事はありません。
タダほど、恐いものは、ないのです。

2023年01月20日