失敗をさらけ出そう 1089


想像もしていなかったような、「とんでもない大失敗」をした経験。
あなたにも、何度かは心当たりがあると思います。

どうしたら解決できるか、まったくわからないほどの大失敗の時は、途方に暮れてしまいます。
そんな時は、いったいどうすれば、いいのでしょう。

ある大学の生協で、アルバイトの職員が「ポッキー」や「プリッツ」などのお菓子を320個仕入れようとして、3200個も発注してしまったのです。
「1セット10個入り」という表示を見逃したために、起こってしまったミスですが、届いた商品の山を見て、青ざめたのは、生協職員たち。
さあ、もしあなたが職員だったら、いったいどうしますか。

困り果てた職員たちが、選択した方法。
それは「失敗をさらけ出し、本気でお願いする」ことでした。

自分たちのミスによって、とんでもない数のお菓子が、届いてしまったことを、正直に学生たちに伝えて「何とか、買って下さい!」と、「本気でお願い」したのです。
職員たちは、食品売り場だけでなく、食堂や書店など、大学内のあらゆる場所に、商品を置き、そのすぐ横に大きなPOPで、こう書きました。

「HELP! 誤ってポッキー・プリッツが3200個届いてしまいました。思っていた数のなんと10倍です。皆さんの声かけをたくさんの人に、よろしくお願いします」

さらに、このPOPの下には、日々の販売個数を表示して、「夢の完売まで、あと何個」というカウントダウンの数字が、わかるようにしました。
そうしたら、学生たちが面白がって、ツイッターやLINEで「○○大学生協ポッキーだらけ!」などと写真付きで拡散。
「買ったよ」「私も!」と、どんどん盛り上がり、通常の100倍ものケースで売れて、無事に完売することができたのです。

これ、もし職員たちが誤発注を隠して、ただ単に「ポッキー、プリッツ大安売り!」なんてフェアをやったとしても、上手くいかなかったでしょう。
「間違えて、10倍もの数のポッキーを発注してしまった」というとんでもない失敗。
それを隠さずにオープンにし、「助けて下さい」と本気でお願いしたことが、多くの学生の心を動かしたのです。
人は、真剣にお願いされると弱いもの、たとえ店舗の担当者からのお願いでも、真剣なお願いなら、一度くらいは聞いてあげようとするものです。

そもそも、人助けって、助けている側も、ちょっとイイ気分になれますものね。
ピンチの時は、隠さないほうがいい。
さらけ出したほうが、上手くいく。

これは、何も「ミス」だけに、限った話ではありません。
自分の欠点や、苦手なこと、恥ずかしいところだって、ときには隠さずに、さらけ出してしまって、いいんです。
そんな素直さを持つあなたに、周りの人も手を、差し伸べてくれるのです。

2023年04月28日