他人の幸福を優先する 1102


お釈迦様にまつわる話を、紹介しましょう。

あるとき、お釈迦様は、托鉢に行こうとする弟子たちに向かって、こう言いました。
「お金持ちの家ではなく、貧しい人たちの家を回って、托鉢をしてきなさい」

弟子たちは、驚いてしまいました。
お金持ちは、食べるものに困りません。
ですから、いくらでも施すことができます。
しかし、貧乏な人には、修行僧に食べ物を施す、余裕などありません。

そこで、1人の弟子が理由を尋ねると、お釈迦様は、次のように答えたのです。
「貧しい人たちは、自分が貧しいと考え、他人に施すことを忘れている。それゆえ、いつまでたっても、貧しさから抜け出すことができない。そのことを貧しい人たちに、教えてあげてほしいのだ」

僧に施すという行為は、徳を積むことになります。
徳を積めば、貧しさという不運から、抜け出すことができるということを、お釈迦様は、言いたかったのです。

同じことは、私たちの人生にも、いえると思うのです。
「運が悪い」「人生が報われない」と嘆く人は、自分の幸せのみを考え、他人の幸せをないがしろにする傾向があります。
しかし、それだと、一生運が悪いまま、人生が報われないままで、終わってしまいかねません。

幸福になりたければ、自分の幸福よりも他人の幸福を、優先して考えることです。
他人を喜ばすこと、尽くすことに、目を向けることが大切です。

2023年07月29日