人のために時間を使おう 1103


お釈迦様にまつわる、エピソードを紹介します。

お釈迦様が、町中で徳を積むことの大切さを説いていたとき、1人の男が、こんな相談を持ちかけました。
「私は戦争で、大ケガを負って以来、身体が不自由になり、働けなくなったため、大変貧乏な暮らしをしています。ですから、他人に与えるものなど1つもありません。こんな私でも徳を積める方法が、あるのでしょうか」

すると、お釈迦様は、男を1件の民家へ連れて行き、次のように教えたのです。

「あそこの民家を見てごらん。老人が1人で、暮らしている。老人の横には、1匹のイヌがいる。あのイヌは、毎日決まった時間に、老人の家を訪れ、ああやってなごませているのだ。そう、ただあの場にいるだけで、老人の役に、立とうとしているのだ」

この話は、「自分には与えるものが、何一つない」と考えている人にとって、大いに参考になると思います。
与えるものがなければ、わずかな時間であっても、相手のために割いてあげ、話し相手になってあげたり、相談相手になってあげるだけでもいいのです。
いや、何もしなくても、存在するだけでもいいのです。

それだけでも、相手は感謝してくれるようになり、喜びを与えたことになります。
すなわち、これもまた1つの立派な徳積みの行為となるのです。

2023年08月07日