使った物はきちんと片付けよう 862


いろいろな職場を見て回ると、すぐにその職場の状態が、わかることがあります。
それは、社員の机の上の整理・整頓が、できているかです。

机の上がきれいであれば、日頃から小さい事まで、気配りがなされ、美しい環境作りに、取り組んでいることが、わかります。
そのような職場の状況は、会社が上手くいっていて、人間関係も良好なのです。

学校においても、子どもたちの靴箱の様子を見てみると、落ち着いている学校は、靴がきれいに整理・整頓されています。
荒れている学校は、靴がバラバラな状態で、置かれているのです。

曹洞宗の開祖である道元禅師が、次の言葉を、残しています。

高い場所に、片付けておくべきものは、
高いところに、きちんと安置しておきなさい。
低いところに、置くべきものは、
低いところに、ていねいに片付けておきなさい。

この言葉は、「食事の用意に使った道具は、使い終わった後、所定の場所に、きちんと片付けておきなさい。高い場所にあった道具は、きちんと高いところへ安置し、低いところにあった道具は、低いところに、ていねいに片付けておきなさい」と、伝えています。

どうしてそんな小さなことを、言っているのかと、思うかも知れません。
しかし、そこには道元の深い教えが、あるのです。

この言葉の本当の教えは、「ものを所定の位置に、きちんと片付けることで、自分自身の感情の整理ができ、心が平安になる。逆の言い方をすれば、身の回りのものが、散らかっていることは、心の乱れにつながるから、注意しなさい」と、いうことです。

感情が落ち着いて、何事も集中して取り組める人は、周りの環境にも、気を配ることができるのです。
逆に、感情がイライラして、集中力に欠ける人は、周りに対する注意も、散漫なのです。

そんな人は、仕事で使っているデスク、作業用の道具箱、食器棚、靴箱、本棚、衣類ケースなど、自分の周りにあるもの・使ったものを、所定の場所に、きちんと片付けましょう。

片付ける行為を通して、感情が整理され、落ち着きを、取り戻せるのです。
片付けは、落ちついた心を、取り戻す大切な機会なのです。

2020年11月30日