相手の望みを見抜こう 870


相手が、今何を望んでいるのか、何をしたら喜んでくれるのかについて、見抜くことができる人がいます。
見抜くことができると、相手が喜ぶような行動を、することができ、感謝されます。

逆に、見抜くことが、できない人がいます。
見抜くことができないと、よかれと思った行動が、相手から嫌われることになります。

俳優の故・石原裕次郎さんにまつわるエピソードを、紹介します。

あるとき、石原さんは、スタッフといっしよに、銀座の寿司屋で、食事をしたことがありました。
そのとき、石原さんは、お抱えの運転手を外で、一時間ほど待たせたのですが、寿司屋から出てくるやいなや、真っ先に運転手に、こう言いながら、特上の握り寿司を渡しました。
「一時間も待たせてしまって、悪いことしたね。お詫びに、このお寿司を家族といっしよに食べなさい。そうそう、キミのところは、小さな子どももいると聞いていたから、半分はワサビを、抜いておいたよ」

この言葉を聞いた運転手は、「私や私の家族のことまで、気にかけてくれるなんて、裕次郎さんは、なんと器の大きい人だろう」と、大いに感激したといいます。
「お抱え運転手といえども、誰だってお寿司を食べたいはすだ。でも、それがかなわない。
だったら、自分が味わった愉しみを、彼には家に帰ってから、家族といっしょに、昧わってもらおう」
そういう気配りを石原さんは、行動で表したのです。

ある社長の話を、紹介します。

会社の社長が、元気のない従業員に、やる気を出してもらうために、月に何度か食事会を開いて、従業員にごちそうすることにしました。
しかし、従業員はやる気を出すどころか、どんどん会社を辞めていきました。
従業員の多くを失ったその会社は、仕事を満足にこなすこともできなくなって、経営が傾き、いつ倒産してもおかしくない状態にまで、なってしまったのです。
完全にツキに、見放されてしまったのです。

「せっかく、うまい飯を食わせてやったのに、どうして恩をアダで、返すようなことをするんだ」
これが、社長の言い分でした。
しかし、その社長は、従業員たちの気持ちを、まったくつかんでいなかったのです。
「食事をご馳走してくれる、お金があるんだったら、給料を上げて欲しい。こんな低い給料じゃ、やっていけないよ」
これが、従業員たちの本音だったのです。
社長の親切心は、相手にとっては、ただの迷惑だったのです。

石原さんも社長も、よかれと思ってやっています。
石原さんは、相手の望みが、見抜ける人なのです。
社長は、相手の望みが、見抜けない人なのです。
相手の望みを見抜くことができれば、本当に相手が欲していることを、提供することができるのです。

相手の望みを、見抜きましょう。
相手の望みがわかる人は、ツキを得るチャンスも、広がるのです。

2020年12月08日