
春の朝、散歩をしていると、静まりかえった中に、「ホーホケキョ」と、ウグイスの鳴き声が、聞こえてきます。
鳴き声の方を見ても、ウグイスの姿は、見えません。
しかし、「ホーホケキョ」という鳴き声が、何故か心に、染み渡ります。
春という季節の清々しさ、ウグイスの鳴き声の美しさ、姿が見えないウグイスの面白さを、心に感じます。
そんな時は、朝から気持ちが、明るくなり、幸せな気分になります。
江戸時代の俳人に、松尾芭蕉(ばしょう)がいます。
質素な生活をし、自然や人の面白さ、おかしさを俳句や紀行を通して、表現した人です。
次の有名な俳句を、2つ紹介します。
枯枝に鳥のとまりけり秋の暮
古池や蛙(かわず)飛び込む水の音
「ある秋の夕暮れ、枯れ枝に、カラスが止まったよ」と、いうだけです。
「古い池に、カエルが飛び込んで、水の音がしたよ」と、いうだけです。
しかし、どちらにもそのシンプルさの中に、カラスやカエルが、静寂の中で動く、鮮やかさが、描かれています。
ガサガサっという枝の音、ボチャッという水の音が、聞こえてきそうです。
ワサワサと揺れる、枯れ枝の動きや、丸く広がる波紋の形が、目に浮かぶようです。
静かな世界の中の、小さな物語の面白さが、あります。
美しさや面白さ、おかしさを繊細に感じ、幸せな気分が、静かに伝わってきます。
松尾芭蕉は、小さな美しさや面白さを、見つけて楽しむ、達人なのです。
自然の中には、無限の小さな美しさや面白さが、あります。
私たちも、小さなことを、愛でる心を持ち、自然を楽しみたいものです。
