困難に毅然と耐え抜く「四耐四不訣」 978


松は、枝ぶりは見事でも、割合弱く雪が積もると、折れてしまいます。
パキーンと大きな音を立てて、落ちてくる松の枝を、見たことがある方もいると思います。
金沢の兼六園では、枝が折れないよう、縄で吊(つる)して、それが冬の風物詩にもなっています。

ちなみに竹は、細くとも大変強く、雪が積もると、すうっと曲がるけれども、雪が落ちるとまた元に戻ります。
竹は折れずに、伏すといいますが、やはり見てくれの強さよりも、困難に耐え、忍ぶ強さこそが、真の強さといえるのです。

人も竹のように、つまらないことに腹を立てず、ものごとが上手く運んでも、調子に乗らず、よけいな競争をせず、かといって何でも言いなりにならないように、なりたいものです。
忍ぶ強さを身につけ、困難にも毅然と耐え抜く、本当の強さを、身につけたいものです。

清代末期の政治家・曾國藩(そうこくはん)が、四耐四不訣(したいしふけつ)という言葉を、残しています。

曽国藩は、単なる地方の名士(郷紳)であり、清国に於いては、非支配者層であったため、決してエリートでは、ありませんでした。
しかし、郷勇という民兵組織を募り、後の湘軍を結成、清国本軍(八旗)が大苦戦する中、太平天国の乱の鎮圧に、努めました。
また、戦いの中で、部下の李鴻章を、大軍を預ける将軍まで育成し、挟撃して太平天国軍を鎮圧させています。

四耐四不訣とは、事を成すために、耐えるべき4つの事、してはいけない事4つを、述べた戒めの言葉です。

四耐とは…
耐冷(冷に耐え-孤独や周囲の冷たさに耐え)
耐苦(苦に耐え-苦しさに耐え)
耐煩(煩に耐え-忙しさ、わずらわしさの連続に耐え)
耐閑(閑に耐え-閑職に追われた場合も、それに耐え)

四不とは…
不激(激せず-つまらないことに、腹を立てず)
不躁(躁がず:さわがず-うまくいったからといって、はしゃがず)
不競(競わず-無駄な喧嘩をせず)
不随(随わず:したがわず-何でも言いなりにならず)

四耐四不訣は、多様な価値観やあらゆる情報に溢れた、現代に於いても、重要な指針であり、自らのアイデンティティを確立させ、自律のための戒めとなる、言葉だと思います。

どんな苦難苦業があっても、四耐四不訣の言葉を胸に、真摯に向き合いましょう。
この言葉を心得て、やっていれば、大業・大成することも、できるでしょう。

2021年03月26日