安易に他人に注意しない 994


悪いことをなどをしている人を見たら、注意をする人がいます。
「静かにして、人の話を聞いて下さい」「この場所では、写真撮影は禁止されています」「もう遅い時間だから、家に帰りなさい」「グズグズせず、さっさと仕事をしなさい」など、注意をします。

このように他人に注意をすることは、本当は勇気がいることで、ありがたいことなのです。
しかし、他人に注意をする場合は、正義ズラをして、安易に注意すると、失敗することがあります。

講演会で席に座ってたある人が、席を立って、何処かへ行こうとしていました。
それを見て、係の人が「今は勝手に、席を立たないで下さい」と、注意をしました。
ある人は、本当はトイレに行きたかったのに、その言葉を聞いて、困ってしまいました。

席に座って長い時間仕事をしていたある人が、リラックスのために、コーヒーを入れて、飲もうとしていました。
それを見て、上司が「仕事をサボってもらっては困る」と、注意をしました。
ある人は、コーヒーも飲めず、少しの休憩も取れなくなりました。

このようにどんな事情があって、何故そのような行動をしているのか知らずに、注意をしてもらっても、大変困ってしまうのです。
ここで、面白い話を紹介します。

Aさんが会社に入社したころ、仕事でかかわりがあるほかの部門に、仕事中にしょっちゅう奥さんと電話をしている、係長がいたそうです。
しかも、奥さんも大胆で、旦那さんの携帯ではなく、会社の代表電話に、堂々とかけてくるのです。

その係に行って、仕事の打ち合わせなどをしていると、その係長に「○○係長、奥さんから電話です」と、声がかかる場面をよく目撃していて、「自分がここにいるときだけでも、こんなに電話がくるなんて、いくらなんでも私用電話が多いのでは」と思っていたそうです。
その係長は、奥さんから電話がかかってくると、いつも周りに聞こえないくらいの小声で、長々と会話をしている。
周りの社員もひと言、「係長、いい加減に私用電話は、やめてください」と言えばいいのにと思っていたのですね。

しかしある日、その係長が、奥さんからの電話を、こう言って切るのを、目撃したのです。
「では、間違いなく納品しておきます。失礼致します」
そうです。
係長は奥様と電話しているのでなく、取引先の「奧」という名前の人と、商談をしていたのでした。
Aさんは、「もし、正義ヅラをして『私用電話は、ほどほどにしてはいかがですか?』なんて言っていたらと思うと、今でもゾッとする」と、言っています。

もし注意すれば、係長に大変失礼なことに、なっていたと思います。
この例は、「相手の事情も知らずに、正義ヅラして、安易に注意してはいけない」ことを、強く教えています。

もちろんカットなって、理性を失った状況での注意もいけません。
場合によっては、取り返しがつかない、悪いことも起こります。

注意をする時は、状況や事情を十分配慮して、冷静な態度で、他人に優しく注意するようにしましょう。

2021年07月03日