
誰でも宝物があれば、ぜひ欲しいと願います。
できれば楽をして運良く、宝物を手に入れたいものです。
では、本当にどうしたら、宝物が手に入るのでしょう。
ここで、イソップ童話の「農民と息子」を紹介します。
死にかけていた農民が、息子たちをまわりに呼び集め、遺言を告げました。
「息子たちよ、私はもうすぐ死ぬ。だから、私のブドウ畑に秘密の宝物があることを教えておこう。掘るがよい。すると宝は、見つかるだろう」
父親が死ぬと、すぐに息子たちは鋤(すき)と熊手を持って、ブドウ畑の土を何度も何度も掘り返しました。
そこに埋まっているらしい宝物を探したのです。
ところが、何も見つかりませんでした。
しかし、土を一生懸命掘り返したので、ブドウは、これまで見たことがないほどの素晴らしい実を実らせたのです。
おそらく農民は、息子たちに、「苦労せずに得られる、宝物はない」ことを、教えたかったのでしょう。
苦労の先に、本当の宝物や喜びがあるのです。
楽をして運良く、手に入れられる宝物は、どこにもないのです。
