毎日の生活や仕事、いろいろな活動を通して、人は周りの人に、何かを与え続けています。
しかし、本当は与え続けてばかりいるのでは、ありません。
本当は、逆に大切なものを、もらっているのです。
なかなか見えにくいかもしれませんが、とても素晴らしいものなのです。
ここで、ある有名なサッカー選手の話をします。
サッカー選手が、養護施設にやってきた。
彼は、障害をもつ子どもたちとサッカーをするために、その施設を訪れたのだ。
子どもたちは、泥だらけになりながらも、一生懸命、ボールを追いかける。
サッカー選手も、短い時間ではあったが、子どもたちとのサッカーを、楽しんでいる様子だった。
そして、数時間後、サッカー選手は、子どもたちに手を振って、施設をあとにしようとした。
すると、物陰から、1人の男が飛び出してきた。
その男は、自らを、「新聞記者」だと名乗った。
「こういうところで、子どもたちとサッカーをしてあげるのは、社会的な目を気にして、好感度を上げるためなんですか?」
新聞記者は、遠慮のない質問を選手にぶつけた。
新聞記者に、そう質問されたサッカー選手は、逆に聞き返した。
「あなたは、僕が子どもたちとサッカーをしているところを、見ていたんですか?」
新聞記者は、「もちろん」と、大きくうなずいた。
その答えを聞いたサッカー選手は、心の底から不思議そうに言った。
「それなのに、僕が彼らに、『何かをしてあげている』って見えたんですか?
逆に、僕が彼らから、『大切なものをもらっている』とは、見えなかったんですか?」
サッカー選手は、子どもたちから、大切なものをもらっていたのです。
それは、「子どもたちのサッカーに対する情熱」「子どもたちの真剣な態度」「子どもたちのサッカーを楽しむ姿」「障害を気にせずに、頑張る純粋さ」などかもしれません。
人は、毎日の活動で、たくさんの大切なものを、もらっています。
大切なものを意識し、感謝の気持ちをもって、自分の財産にしたいものです。