島田洋七(漫才師)の佐賀のがばい(すごい)ばあちゃんの話を、紹介します。
何ごとも「視点を変えて見る」というのが、ばあちゃんの得意技だった。
毎年春と秋、佐賀城近くの松原神社でのお祭りでのこと、金魚すくいの屋台で、泳ぐ金魚をじーっと見ながら、いつもこう言うのだ。
「一億円あったって、金魚1匹つくれんばい」
これには、周りのお客さんも、拍手喝采だった。
また、境内にある大きな楠(くすのき)を見ては、
「この木は、樹齢600年って書いてある。江戸時代のことも、よう知っとるばい」
などと、しきりに感心するのだった。
あるとき、雑草が小さな花をつけているのを、ばあちゃんといっしょに、見ていたときのこと。
「きれかろう?」と聞かれて、俺(洋七)が、
「うん、でも、ちっちゃい」
と答えると、ばあちゃんは、
「アリから見たら、大きいよ」
と切り返した。
「花屋の花は、人の手が加わっているから、大きくて当たり前。小さくても、自分の力だけで、一所懸命咲いているのが、いちばんきれいだよ」
視点を変えて見るということは、人間社会だけから、ものを見ないということにも、つながっている。
誰にでも優しい、ばあちゃんだったが、人間以外のものには、もっともっと、優しいばあちゃんだった。
人は、いつも自分だけの視点で、何でも見てしまいます。
他の人の視点、人間以外の視点など、視点を変えて見るようにしましょう。
今まで見えなかったことが、よく見えるように、なるでしょう。
もっともっと、優しい自分になることが、できるでしょう。