重い病気はプレゼント 1140


童話を紹介します。
作者は、骨がまっすぐに成長しないという、難病を背負った少女。
その彼女が、「悲しんでいるお母さん」のために書いたお話です。

天国でのこと。
これから生まれる子どもたちに、神様が1つずつプレゼントを渡していました。
プレゼントは「お金持ち」「幸せな家庭」「健康な体」などいろいろあります。
子どもたちは、この中から好きなプレゼントを1つだけもらってから、生まれるのです。

その女の子は、神様が、1つのプレゼントを足元に隠しているのに、気が付いてしまいました。
女の子が「それ、なぁに?」と尋ねると、神様は答えます。
「これはね、とても強い子にしかあげられないものだよ。これを受け取った子は、生まれてから、とても苦しい思いをしてしまうんだ。でも、誰かに渡さなければならないのだけどね」
そのプレゼントには、こう書かれていました。

「重い病気」

女の子は、神様に必死で頼みます。
「お願い、そのプレゼントを私にちょうだい。他の子が苦しむなんていや。私、強い子だから、絶対負けないから」
こうして、その女の子は「重い病気」を背負って、この世に誕生したのです。

この童話を母親のために書いた女の子は、こう言いたかったのでしょう。
「私は、強い子だから病気になったのよ。だから、お母さんは、悲しまなくていいんだよ」

強くて、優しい心を持った女の子は、重い病気をプレゼントと思っているのです。
誰にも歩むことができない人生を、逞しく生き抜いているのです。

2024年05月03日