桃(もも)や李(すもも)の樹は、美しい花を咲かせ、おいしい実をつける。
だから何も言わなくても、人が自然と集まってきて、その下には、自然に道ができる。
それと同じように、徳のある人物のもとには、黙っていても人々が、慕い寄ってくるのです。
漢の時代に、李広(りこう)という将軍がいた。
弓の名手で、剛胆な戦い方を得意とし、「漢の飛翔軍(ひしょうぐん)」と恐れられていたが、ふだんは無口で、朴訥(ぼくとつ)な人柄だった。
部下もよく可愛がったらしい。
与えられた恩賞のたぐいは、みな部下に分け与え、飲食も常に部下と同じものをとった。
行軍中、たまたま泉を発見しても、部下が飲み終わるまでは、けっして飲もうとしなかったし、食料も、部下にゆきわたらないうちは、ついぞ手をつけなかった。
そのため部下はみな「李広殿のためならば」と、喜んで戦いにおもむいたといわれる。
理想の指導者とは、李広のような徳のある人物では、ないだろうか。
今の世の中は、戦いのない時代です。
しかし、理想の指導者は、今も昔も、徳のある人物であることには、変わりはない。
徳のある人物であれば、人は自然と慕い集まるのです。
