「自分のせい」で上手くいく 1076


「全員が『悪人』の家」という話をします。
あるところに、「いつもケンカばかりしている一家」と「ぜんぜんケンカをしない一家」が、隣り合って住んでいました。

ケンカばかりしている一家は、それはそれは、つまらない事で、毎日ケンカが絶えません。
例えば、床に置いてあった本に、奥さんがつまずき、崩してしまったら・・・。
「ちょっと、誰よ、こんなところに、本を積みっぱなしにして!」
「オレだ! ああっ、せっかく順番どおりに、積んであったのに、バラバラになってしまったじゃないか! もう少し注意して、歩かんか!」
「アンタがこんなところに、本を積んでおくのが、いけないんでしょう!」
と、あっという間に、ケンカになる。

そんな、「ケンカ一家」のダンナさん。
「いったい、隣りの家は、どうしてぜんぜんケンカを、しないのだろう・・・」と不思議に思い、ある日、「仲良し一家」のダンナさんに、聞いてみます。

「お宅は、いつもニコニコとして、ぜんぜんケンカを、していないようですが、何か秘訣でもあるのですか?」
すると、「仲良し一家」のダンナさんから、耳を疑う返事が、返ってきたのです。

「ウチは皆、悪い人間ばかりなので、ケンカにならないんですよ」

えっ? と思う「ケンカ一家」のダンナさん。
今のって、「良い人間ばかり」の言い間違いでは・・・?
不思議に思っていると、「仲良し一家」の家の中から、奥さんの声が聞こえてきます。

「あら、ごめんなさい。せっかく本が床に、積んであったのに、つまずいて崩してしまいました」
それに対して、お姑さんの声。
「私の方が悪かったわ。息子がこんなところに、本を積んでいるから、片付けようと思っていたのに、つい、そのままにしていたのよ」
すると今度は、家の中へ向かって、ダンナさんが叫びます。
「いや~、そんなところに、本を積んでおいて、オレこそ悪かった。ケガは無かったか? 片付けるから、そのままにしておいてくれ」

この会話を聞いていた「ケンカ一家」のダンナさんは、すべてを理解しました。
「なるほど。仲良し一家では、みんなが『私が悪い、私が悪い』と、言っている。たしかに全員が〈悪い人間〉だ。これは、たしかにケンカに、なるはずがない・・・」

いつも「自分のせいで」と考える人は、上手くいくのです。
責任を相手に求めるのでなく、自分に求めることが、優しさなのです。

2023年01月27日