火の恵みに感謝しよう 853


キャンプファイヤーのセレモニーの言葉(一部)を紹介します。

みなさん、目を閉じましょう。
遠い昔、人間の祖先が草原に立ったとき、私たちはただの弱いサルに、すぎませんでした。
しかし、人間は、やがて火を発見し、その火で身を守り、やがて弱いサルは、強い人間になることができたのです。

私たちは、火を人間のために使ったとき、それは喜びになりました。
しかし、争いのために使ったとき、それは人間の苦しみや悲しみと、なりました。
火を使うのは、私たち人間です。
私たちは、そんな火に感謝しながら、すべての火を喜びの火にしたいと、願っています。

セレモニーの言葉は、火を大切にするとともに、火は、感謝と喜びの火でもあることを、教えています。

ここで、人類と人の歴史を紹介します。

人類が最初に手にした火は、自然火災によってもたらされたものだと、考えられています。
火災によって、こうむる火傷の痛みや燃えさかる炎への本能的な畏怖(いふ)=恐怖心を想像すると、持ち帰るのが、たとえ小さな種火であっても、大変勇気の要る大仕事であったと、想像できます。

このようにして、手に入れた火は、夜の闇を照らす「明るさ(光)」と「暖かさ(熱)」を与えてくれました。
まだ自分たちで、火を起こすことのできなかった人類は、夜行性の獣から、身を守ってくれ身体を温めてくれる火を大切にし、これを絶やさぬように、番をして守りつづけました。
 
やがて、偶然からか、風でこすれあう木の枝から、発火するのを見た者が、自然から学び取ったものか、人類は発火の術を手に入れます。
渇いた木を横に寝かせ、その木に垂直に別の木を、当ててこすり続け、摩擦によって熱を蓄えて発火させる方法は、世界各地で行われたようです。

火を使用することが、できるようになった結果、人類はそれを用いて、食物を料理することが、できるようになりました。
食物を料理するということは、二つの大きな効果をもたらします。
食物を柔らかくすることと、食物の中により多くのエネルギーを、与えることです。
食物が柔らかくなると噛みやすいので、そんなに大きな歯を、必要としなくなります。
食物を通じて、より多くのエネルギーが、得られることによって、大きな脳や大きな体を持つことができ、長距離の移動ができ、より頻繁に子どもを産むことができるなど、人類特有のさまざまなことが、可能になります。

また、火を使用することで、人類は夜間木に登ることなく、地上でも安全にいられるようになりました。
私たち人類は、 日常的に夜間地上で寝る、唯一の霊長類です。
火があれば、 危険な動物が近づいてくるのがわかるので、地上で寝ることもできるのです。地上に寝るということは,まさにこの 200万年前に起こった、重要な変化のひとつだったのです。  

「私たちは、火の使用と料理によって、ヒトになった」の意味は、「私たちが長い脚、完全な直立歩行、そして木登りに向かない足という、現代あるいは比較的最近の身体的特徴を、持つことになったのは、火の使用と料理によるものだ」ということなのです。

火は、火事や森林火災など、人を不幸にすることがあります。
しかし、人類の歴史は、火とともに生まれ、火とともに成長発展してきたのです。

このような火の歴史を学ぶと、あらためて火の恵みのありがたさを、強く感じます。
これからは、さらに火の恵みに感謝して、生きたいものです。

2020年11月21日