あるご夫婦が、2人で旅行に出かけたとき、事件は起こりました。
旅先のホテルで、部屋に入ります。
部屋の備え付けの冷蔵庫の中には、数々のドリンク。
それを見て、旦那さんは、子どもの頃に聞いた父親の言葉を思い出します。
父曰く、「ホテルの部屋に備え付けてある冷蔵庫の飲み物には、絶対に手を出すな。普通に買うより、高いからな!」
この旦那さん、今までずっとその言いつけを守ってきました。
大人になってから、ホテルに泊まる機会があっても、冷蔵庫には決して近づかないようにしていたのです。
ところが。
部屋に入るなり、奥さんは「ああ、ノドが渇いた」などと言いながら、冷蔵庫の扉を開けたかと思うと、旦那さんの目の前で、グビーッとジュースを飲み干してしまうではありませんか!
それを見て、内心、「うわぁぁぁ~~!」っと、叫び声をあげる旦那さん。
いつもならケンカになる場面。
しかし、旦那さんは、奥さんがあまりに堂々と、しかも簡単に自分がそれまでの人生でタブーにしてきたことを突破する姿に、怒りや驚きを超えて、感動してしまいます。
ちょっと尊敬の念すら、抱いてしまったのです。
しばしあ然とした後、旦那さんは奥さんに、「自分が子どもの頃に、親から聞いた教え」を伝えます。
すると奥さんは、こんなことを言ったのです。
「面白いわね。私は子どもの頃、父から『ホテルはなかなか儲からないから、こういうところで、利益を出させてあげることが、大切なんだよ』と教えられたわ」
これは、どっちの教えも正しいのです。
お互い、これまでと違った教えがある、と教えてくれます。
相手の価値観に好奇心を持って、それを尊重できれば、2人一緒に成長できるのです。