最近は、いろいろな企業など、すぐに役立つ人間を、求めるようになりました。
すぐに役立つ人間が、大切なのはわかりますが、本当にそれでいいのでしょうか。
昔の話ですが、王子製紙の再建を果たし、同社の中興の祖といわれる藤原銀次郎さんは、莫大な財産を母校の慶応大学に寄附し、工学部をつくりました。
藤原さんは、工学部をつくるにあたり、「アメリカでは、社会に出てすぐに役立つ学生を教育している。こんどの工学部では、ぜひ、すぐに役立つ人材を養成してほしい」と注文をつけました。
時の慶応大学塾長は、有名な小泉信三先生です。
「すぐに役立つ人間は、すぐに役立たなくなります」と、反論して論争になりました。
大学が、学問を学ぶと同時に、人間を磨く場でもあります。
役立たない本を読んだり、スポーツに青春をかけたりなど、いろいろなことをします。
ムダに見えることが、人間形成に大きなプラスを与えます。
教育とは、そんなものなのです。
すぐに役立つことばかり追い求めすぎると、結果として、大きなマイナスが起こるのです。
ムダなことや時間がかかること、関係ないような経験なども、大切にしながら、役立つ人間を、優しく育てていきたいものです。
