
秋になって霜が下り始めると、やがて堅い氷の張りつめる、厳しい冬がやってくる。
つまり冬は、秋をとび越えて、一気にやってくるわけではない。
そのまえに、霜が下りるという前兆があるのだ。
だから、霜の下りるのを見たら、冬の支度を急がなければならない。
人間世界の出来事についても、これと同じことが言える。
どんな大事件でも、必ずその前触れとなるような、小さな事件がある。
だから、かすかな前兆でも、それを小事だと見過ごすことなく、ただちにその動きを察知して、早めに手を打たなければならない。
「霜を履(ふ)みて堅氷至る」とは、それを警告した言葉である。
ただし、かすかな前兆を読み取るためには、たえず神経をとぎすまし、緊張感をみなぎらせて、仕事に当たらなければならない。
霜が下りても、まだ冬の到来に気づかないようでは、困るのである。
何ごとも、かすかな前兆に、気づきましょう。
それを察知し、手立てを講じれば、災難を防ぐことができるのです。
