地位が高くなるにつれて、いろいろな人からの贈り物が増えてくる。
贈り物の中には、贈られる人が、喜ぶような物が入っている。
贈り物をもらった人は、はたして、安易に喜んでいいのでしょうか。
ここで、昔の中国の魯(ろ)の国の話を、紹介します。
魯の国に、魚の大好きな宰相がいた。
噂を聞いて、国中の者が、われもわれもと魚を届けてくる。
だが、宰相は、ひとつも受けとろうとしない。
ある者が、わけを聞いたところ、こう答えたという。
「いや、なに、好きだからこそ、断るのだ。受け取れば、世辞(せじ)のひとつも言わねばならん。やがては相手のために、法を曲げることにもなろうというもの。そんなことをしたら、たちまち免職だ。免職になれば、いくら魚が好物だからといって、だれも届けてくれる者はおるまい。自分で買って、食うこともできなくなろう。今、こうして断っていれば、いつでも好きな魚を食えるではないか」
この宰相のように、「人をあてにする」よりも、「自分の力で得る」ほうが、安全で、まっとうな処世だと言えるでしょう。
今で言えば、人から得る魚は、ワイロのようなものです。
タダで得る物は、決して手を出さないようにしましょう。
自らの力で得る物こそ、喜びも大きいのです。
