希望を小刻みに 794


大きな希望を持つことは、大切なことです。
それとともに、小さな希望を持つことも、大切なことではないでしょうか。

小さな希望を少しずつ叶えることで、小さな喜びになります。
小さな希望にも、幸せを感じることが、できるのです。

ここで、「夜と霧」の話を紹介します。

ナチス時代、家族と私物のすべてを取り上げられ、強制収容所で過酷な労役を強いられた、フランクルという、ユダヤ人精神科医の話から始めます。
「夜と霧」という本に、出てくる話です。

惨殺への予感に全身金縛りにあうなかで、それでも生き延びるには、たとえその現実の可能性が、どれほど少なくても、やはり希望に賭けるほかありません。
たとえば次のクリスマスには、きっと家族に会えるはずだと。

でもその希望が潰えたとき、人はさらに深い絶望へと、突き落とされます。
実際収容所では、クリスマスから新年にかけて、ふだん以上に多くの死亡者が、出たといいます。

希望を捨てずにいるには、一つしか手が、ありませんでした。
希望を、極小にすることです。
あえて小さな問題に、かかずらわることで、その日その日を、しのぐことです。

今夜の食事に、ソーセージは、入っているだろうか?
残るわずかな煙草を、だれかのスープと交換したほうが、いいのだろうか?
切れた靴紐の代わりとなる、針金がうまく見つかるだろうか?
今日は気心の知れた作業グループに、入れるだろうか?

このように視野をあえて狭くし、気がかりを小刻みにすることで、絶望を小さくした、とフランクルは言います。

この話から、希望を小刻みにすることが、人を幸せにすることになるのではないか、と思います。
希望を小刻みにして、多くの喜びを感じるのです 。

☆今日のご飯は、美味しかった。
☆仕事が無事に、終わった。
☆友だちの楽しい話が、できた。
☆いい本に、出会えた。
☆気持ちよく、眠ることができた。

小さな喜びを、一つ一つ大切にして、生きましょう。
ちょっとでも、いいことがあれば、「ラッキー」と楽しみたいものです。

2020年09月23日