よいことを行動で示そう 792


テレビで評論家の言葉を聞いていると、たいへんいいことを話されます。
おそらく情報を集めたり、勉強したりして、知識として知っているのです。
しかし、よいことでも、知識として知っているだけでは、本当の役には立ちません。

江戸中期の儒学者、貝原益軒(えきけん)の教えに、次の名言があります。

「知って行わざる 知らざるに同じ」

これは、「よいこと、人のためになること」と思っていても、実際に行動に移さなければ、「よいこと、人のためになること」を、行ったことにはならないという教えです。
知識を行動で示してこそ、本当の価値があるのです。

お釈迦様にまつわるエピソードを紹介します。

あるとき、お釈迦様が弟子たちを連れて町中を歩いていたら、やせこけて今にも死にそうな母子を発見しました。
「可愛そうに・・・」と、お釈迦様が言うと、弟子の一人が、次のように言いました。
「あの母親は、夫に先立たれ、自分も病気で働けなくなり、住み込み先から追い出されてしまったのです」

話を聞いたお釈迦様は、すぐに母子のもとへ歩み寄り、托鉢(たくはつ)で得たお米を差し出しました。
そして、弟子にこう言いました。
「あの母子の境遇を知っているにもかかわらず、おまえは食べ物を恵んであげようとはしなかった。それは、見て見ぬふりをしているのと同じだ。知っているなら、どうして助けようとしなかったのだ」

お釈迦様も貝原益軒と同じで、行動に移さなければ意味がない。
無知であることと変わりない、と言いたかったのです。

どんなに立派なことを言う人でも、行動がなければ、口先だけの人になってしまいます。
知っていたら、よいことをすぐに行動で、示すようにしましょう。
そんな態度を示すことができれば、誰からも信頼され、頼られる人になるのです。

2020年09月21日