慌てずじっくり静観しよう 796


何かトラブルやアクシデントに、見舞われた時に、慌ててしまいます。
何とかしなければ、と焦ってしまいます。

急いで対応策を講じれば講じるほど、さらに事態が、悪化することがあります。
結果的には、トラブルやアクシデントの問題より、その後の対応の方が、大きな問題となってしまうのです。

ここで古代中国の思想家、老子にまつわるエピソードを紹介します。

あるとき、老子のもとに一人の役人が、こんな相談を持ちかけてきました。
「接待で不手際があり、上司を怒らせてしまいました。もう出世の望みはありません。下手をすれば、職を解任されてしまいます。どうしたらいいでしょう」

老子は、その役人を池に、連れていきました。
そして、棒で池の水を、かき混ぜました。

澄んだ水が、泥で濁り始めたところを見計らい、役人にこう言ったのです。
「今のあなたの状況は、この泥水のようなものです。かき混ぜれば、かき混ぜるほど、濁るばかりです。しかし、放っておけば、そのうち泥は沈殿し始め、水は再び澄んできます。今のあなたに大切なのは、静かにじっとしていて、必要以上に動き回らないことです」

老子の予感は、見事に的中しました。
数日後、「あの一件は、おかまいなしということで、解決しました。解任される心配もなさそうです」という報告を、役人が寄せてきたのです。

老子の教えのように、何か困ったことが起こった時は、「泥水も、そのままにしておくと、きれな水になる」ように、慌てずじっくり、静観するようにしましょう。
そして、時間をかけ事態の推移を、見守りましょう。

すると、自然とトラブルやアクシデントが、消滅するかもしれません。
消滅しない場合は、問題が小さくなり、問題の本質がよく見えるので、適切な対策を講じることができます。

不思議なもので、心の不安が焦りを生じ、さらなる諸問題を引き起こすのです。
どんな時も心を落ち着け、時間を置いて、ゆっくりと静観してみましょう。
必ず明るい道が、開けてくるのです。

2020年09月25日