自分が存在することに感謝 438

今あなたは、生きています。
地球上に存在していて、あなたの人生を過ごしています。
多くの人のおかげで、生かされているのです。
そのことは、決して当たり前ではありません。
あなたが生まれ、生きていく意義や価値があるから、あなたがいるのです。
もしそうでなかったら、あなたは、今ここに存在していないのです。
寓話の「盲亀浮木(もうきふぼく)」を紹介します。
あるとき、お釈迦様が阿難という弟子に尋ねた。
「そなたは人間に生まれたことを、どのように思っているか」
阿難が「たいへん喜んでおります」と答えると、お釈迦様は重ねて尋ねた。
「では、どのくらい喜んでいるか」
阿難は答えに窮した。
すると、お釈迦様は、次のようなたとえ話をした。
「はてしなく広がる海の底に、目の見えない亀がいた。その亀は、百年に一度、海面に顔を出す。広い海原には、一本の丸太が浮いている。その丸太の真ん中には、小さな穴があった。丸太は、風に吹かれるまま、波に揺られるまま、西へ東へ、南へ北へと漂っている。阿難よ、百年に一度だけ浮かび上がる、その目の見えない亀が、浮かび上がった拍子に、その丸太の穴に、ひょいっと頭を入れることがあると思うか」
阿難は驚いて答える。
「お釈迦様、そのようなことは、とても考えられません」
「絶対ないと言い切れるか」
お釈迦様が念を押した。
「何億年、何兆年の間には、ひょっとしたら頭を入れることがあるかもしれません。しかし、『ない』と言ってもいいくらい難しいことです」
そう阿難が答えると、お釈迦様はこう話された。
「阿難よ、私たちが人間に生まれることは、その亀が、丸太の穴に首を入れることより難しいことなのだ。それぐらい有り難いことなのだよ。」
あなたは人間ではなく、他の生き物に生まれることもあり得たのです。
しかし、人間に生まれることができたことは、幸運だったのです。
途方もない確率で、今のあなたが存在しているのです。
有ることが難しいことで、「有り難い」のです。
宇宙が存在して、地球が存在して、動物が存在して、人間が存在して、自分が存在することは、とてつもなく希有なことです。
存在すること、共存することが、有り難く、ありがたいことです。
自分の存在に、これからも感謝の気持ちを持ち続けて、生きていきたいものです。
