人の言葉に惑わされない 667


人の言葉を素直に信じる人がいます。

○「この形の洋服は、今年流行する」と聞くと、同じような洋服を衝動買いしてしまう。
○「あの企業の株は、必ず高くなる」と聞くと、あの企業の株をお金を借りて購入する。
○「あの人とつきあうと、悪いことが起こる」と聞くと、あの人から遠ざかってしまう。

このように、人の言葉を疑わず信じて、安易に行動してしまうのです。
しかし、安易に信じたために、大きな失敗や後悔をすることもあります。

ここで、「玉の輿に乗ろうとした娘たち(ハワイの昔話)」を紹介します。

ある島に双子の王子がいました。
王様は嫁をめとらせようと、上の王子に「どんな娘が好みなのか」と尋ねると、王子はこういいました。
「私はやせてスラッとした娘が好きです」
これを知った島の娘たちは、玉の輿に乗りたいがため、食事を減らしてやせる努力をしました。
すると、しばらくして島には太った娘がほとんどいなくなってしまい、なかにはやせすぎて死んでしまう娘さえ現れるようになりました。

ところが事態は急変しました。
上の王子が病気のため死んでしまい、弟が王位を継ぐことになったからです。
そこで王は、弟の王子に、どういう娘が好みなのかを尋ねると、こんな返事が返ってきました。
「私は、ふくよかな娘が好きです」
それを知った娘たちは、玉の輿に乗りたいがため、今度は、太る努力をしました。
チキン、ビーフ、ポーク、フルーツ、甘いお菓子もたくさん食べて、みんな丸々と太り出しました。
困ったのは、娘たちが食い荒らしたせいで、島の食べ物が激減してしまったことでした。

そして、結局、王子が結婚相手として選んだのは、中肉中背の娘でした。
「やせている娘は、餓死する心配がある。太った娘は、島中の食料を食べ尽くしてしまう可能性がある。中肉中背なら、いつまでも健康でいてくれ、島も安泰だろう」
こう考えたのです。

この物語は、人に対する見方はさまざまなので、それらの言葉に一喜一憂して、振り回されてはならないことを教えてくれます。
物事はすべて表裏一体で、二面性があります。
ある人から見れば短所に見えることも、別の人から見れば長所に見えるのです。

物語の中の娘たちだって、王子の言葉に惑わされずに、自分の性格や個性を大切にしていれば、玉の輿に乗るチャンスがめぐってきたかもしれません。
ぜひ人の言葉に惑わされない、思慮深い人になりましょう。

2020年05月19日