働くことは生きること 660


工事現場で汗をかいて、必死に働いている人がいます。
そんな姿を見ると素晴らしいと思い、感動します。

働くなんて当たり前のことかもしれませんが、働くことは貴重な価値があるのです。
最近は残念なことに、働くことを軽く見る傾向があるように思います。

労働に関する慣用句に、「働かざる者食うべからず」(はたらかざるものくうべからず)があります。
この意味は、「働こうとしない怠惰な人間は、食べることを許されない。食べるためには、まじめに働かなければならない」ということです。

ここで、「大地から嫌われた人間(キューバの昔話)」を紹介します。

昔々、人間がまだ1人しかいなかった頃の話です。
人間は、好きなときに散歩したり、気が向けば海で泳いだり、歌を歌ったりして、1日中、好き勝手に遊んで暮らしていました。
そこには、リンゴやバナナなどのおいしい果物や木の実がたくさんなっていて、お腹がすくと、好きなだけ穫って食べていたのです。

そんな様子を見ていた海が、大地に忠告しました。
「キミは、あんな怠け者のために、どうして食べ物を与えるんだい? 人間は、偉そうにして遊んでいるだけじゃないか」
大地は、「なるほど」と納得し、それからは人間に、簡単には食べ物を与えないことにしました。
果物や木の実の周りにトゲのある茨(いばら)を生やし、人間が入れないようにしてしまったのです。

最初は、意地を張っていた人間も、お腹がすいてがまんできなくなり、とうとう大地に頼み込みました。
「お腹がすいて死にそうです。ここにある果物と木の実をください。どうかお願いします」
すると、大地はいいました。
「よろしい。だが、タダではあげられない。これからは汗水流して働きなさい」

仕方なく、承知した人間は、以来、朝から晩まで地面を耕し、種をまき働くようになりました。
そして、労働に見合った穀物や果物を、大地から与えられるようになったのです。

人間が汗水流して働くという行動をとるようになったので、食べ物を得ることができたのです。
まさに「働かざる者食うべからず」です。

努力なくして、成果は得られないのです。
働くことは、生きることなのです。

2020年05月12日