絶対できないことでもできる 603

吉野彰さん(旭化成 名誉フェロー)は、リチウムイオン電池で、ノーベル化学賞を受賞されました。
このリチウムイオン電池は、その時代絶対できないと考えられていました。
何故なら吉野さんが電池の開発を始めた1980年ごろ、リチウムという金属が、画期的な材料として注目されていましたが、大きな弱点がありました。
リチウムは、水に触れると燃えやすい性質があります。
安全を確保しないと、実用化はできなかったからです。
研究を始めて、本当に成功するまでの確率というのは、ひらめきなんかも含めまして、恐らく確率的に100万分の1ぐらい難しかったのです。
その開発から実用化、販売まで、実は川あり、谷あり、大海原あり、という道のりを経てリチウムイオン電池が完成したのです。
リチウムイオン電池は、現在車両分野・通信分野・産業分野・建設分野・再生可能エネルギー・携帯機器と、 幅広い分野で活用されており、現代の生活には欠かせないものとなっています。
ここで、冷蔵庫の話を紹介します。
昔、ヨーロッパのある家電メーカーの社長が、三人の営業マンに、「冷蔵庫を世界中に売り込みたいのだが、ターゲットをどこに絞るか?」と質問したことがありました。
すると、三人は口々にこう答えました。
「やはり先進国でしょう」
「ニーズがたくさんありそうな、熱帯地域でしょう」
「私なら、シベリアの寒冷地に売り込みに行きます」
三人目の答えが予想外だったので、社長は「なぜ?」と尋ねました。
「シベリアの寒冷地に住む人たちは肉食を好みますが、家の外に肉を置いておくと、寒さで肉がカチンカチンに凍ってしまう。しかし、家の中に肉を置いておくと、暖房を効かせているため、逆に腐ってしまう。その点、冷蔵庫なら、凍る心配もなければ腐る心配もないので、ちょうどいいでしょう」
その結果、冷蔵庫はシベリアで飛ぶように売れたといいます。
寒い地域に、あえて食べ物を冷やす冷蔵庫を売る。
このような常識を打ち破る発想は、これまでにない大きな成功を引き寄せることがあります。
みんなが否定するもの、毛嫌いするもの、顔を背けるもの、非常識だと考えられていることに、あえて目を向けてみましょう。
そして、誰もしたことがないからやる、という強い気持ちを持ちましょう。
絶対できないことはないのです。
絶対できないこともできるようになるのです。
