すべてをムダにしない 691


日本は、消費大国です。
いろんな物を消費して、いらなくなったら捨ててしまいます。
その中には、残念なことに、捨てなくても利用できる物もあります。

○洋服が流行に合わなくなったと捨てる
○コンビニの食料品など、売れ残ったと大量に捨てる
○車・電化製品で、まだ使えるのに、古くなったと捨てる
○ペットボトルに入っている飲料水を飲んだ後に、ペットボトルを捨てる
○使ったレジ袋を捨てる

このようにいらなくなった物を大量に捨てています。
再利用できる物は、いいのですが、ただ捨てるだけの物が多くあります。

「曹源の一滴水(そうげんのいってきすい)」という禅語があります。
もとは中国で生まれた言葉ですが、この禅語を広く世に知らしめたのは、日本の岡山の曹源寺におられた儀山禅師(ぎざんぜんじ)でした。

儀山が風呂に入っていると、外で小僧が薪をくべていました。
儀山は風呂の中から、問いかけました。

「わしが風呂から出たら、風呂の湯はどうするのですか」
「次の者たちが入ります」と小僧は答えました。

「次の者たちが出たら、どうするのですか」とさらに儀山が尋ねると、「わたしたち小僧が入ります」と返ってきました。

「小僧たちすべてが入り終わったら、どうするのですか」とさらに儀山が尋ねると、「捨ててしまいます」と小僧は答えました。

すると儀山は、怒り出しました。
「なぜ植木にかけてやらん。花にかければ花の命になる。空から落ちてくる一滴一滴の雨水のおかげで、すべての命が生かされている。雨水はまさに天の恵みなのだから、最後まで有り難く使いきらなければならんのだ」と叱ったといいます。

禅では、水一滴の中にも仏の命が宿ると教えます。
わたしたちも、水や食べ物などすべてをムダにせず、有り難く使いきるという精神を、少しでも生かしたいものです。

何一つとして、ムダなものはないのです。
捨てる前に、もうひとつ使い道はないか、考えるようにしましょう。

2020年06月12日