うらやましく思うのはやめよう 665


人は、自分より他人の方が、良い生活をしている、幸せだと思いがちです。
他人をうらやましく思ってしまい、自分の今の状況が、不幸であるように感じます。

○自分は、いつもお金がないけど、あの人は、財布の中にいつも大金を持っている。
○自分は、毎日遅くまで残って残業なのに、あの人は、午後五時になったらすぐ退社する。
○自分は、サラリーマンなのに、あの人は起業して社長になっている。
○自分は、ポンコツの車に乗っているけど、あの人は高級車に乗っている。

このように、自分より他人の方が、良い生活をしているように見えるのです。
本当に自分より、他人の方が、良いのでしょうか。

ここで、「王様と乞食(中東の昔話)」を紹介します。

ある国の王様が、毎日の暮らしに飽きてうんざりしていました。
いつも威厳を保たなければならず、格式ばったりしきたりや規則にかんじがらめなので、窮屈でならなかったからです。
それに、朝起きると、顔を洗うことから着替えにいたるまで家来がやってくれ、欲しいといえば、ほとんどの物が簡単に手に入ることも、もう飽きてしまっていたのです。
「王の座にいることは窮屈でならん。気分転換の舞踏会でも飽きてしまったし、世界中のおいしい物も食べ尽くした。なんだか毎日がおもしろくないな」

そんなある日、庶民の祭りを見るため、王様が街に出かけたときのことです。
祭りでごった返し、護衛の者とはぐれてしまった王様は、道端で乞食(こじき)が猫と昼寝をしている姿を見てうらやましくなり、ついこういいました。
「オマエは、勝手気ままでいいな。ワシと立場を交換してもらいたいものだ」
それを聞きつけて、目を覚ました乞食は、お互いの着るものを取り替えて、入れ替わることを提案しました。
幸い二人は、背格好も顔立ちも似ていたので、実際に、衣服を交換すると相手とそっくりになりきることができました。

願いがかなった王様は、気ままな乞食生活を存分に楽しみました。
行儀悪く道端に寝転んで、猫とたわむれようが自由です。
ところが、夜になり、お腹がすいても、一文無しの王様は食べ物を買うことができません。
そのため、寒空の下、お腹をすかせた王様は、「自由でいいと思った乞食も大変だ。やっぱり王様の生活に戻りたい」といって後悔したのです。
一方、王様と入れ替わった乞食も、数日経って、「お腹いっぱいごちそうが食べられても、お城での暮らしは自由がないから、窮屈でやっぱりイヤだな」といって後悔したのです。

この話は、乞食をうらやむ王様を反面教師に、「人間は、隣の芝生は青く見えるものだが、いざ、その人の立場になると、いろいろ大変なことが多い」ということを、教えてくれます。

モデル並みのスタイルをしている女性でも、スリムな体型を維持するために、好きな物が食べられないかもしれません。
高級車に乗っている人でも、大きな借金をしていて、無理していい格好をしているのかもしれません。

うらやましく見える人でも、あなた以上に深刻な悩みを抱えていたり、つらい思いをしているかもしれません。
誰にだって悩みがあり、大変なのです。

人をうらやましく思うのはやめましょう。
自分は自分でいいのです。
今の自分が最高に素晴らしく、幸せなのです。

2020年05月17日