人のために尽くすことを第一に 677


医学博士として、世界平和に貢献したアルベルト・シュバイツァー博士の言葉を紹介します。

幸せになりたいと願っているなら、まず、人のためにつくすことです。
そうすれば、宇宙のある不思議な法則によって、必ず報いが戻ってきます。
宇宙の不思議な法則などというのは、科学者である私の言葉らしからぬものに思えるかもしれませんが、こればかりはどうにもこうにも科学的にうまく説明できないのです。
しかし、それは間違いなく存在する法則であることを、強く申し上げておきます。

博士が言っているように、人のために尽くせば、必ず報いが自分に戻ってきて、幸せになれるのです。
ここで、「秘密の泉(中央アジアの昔話)」を紹介します。

たいそう水に困っている村がありました。
村人は、暑い日も寒い日も毎日、遠くの川までヒイコラいいながら、水をくみに行かなければなりません。

ある日、村に住むチェンという娘が、裏山に登ったときのことです。
偶然、岩の間からきれいな水があふれ出る泉を発見しました。
みんなに教えてあげたら、水くみの苦労がどんなに楽になるでしょう。

ところが、急にその岩から恐ろしい怪物が出てきて、こういいました。
「仕方がない。知ってしまったオマエにだけは水をくむことを許すが、この泉のことはほかの誰にも話してはならん。もし話したらオマエの命はないぞ」
これを聞いチェンは、恐れ悩みました。

そんなある日、チェンの目の前で、水のオケをかついだおじいさんが倒れてしまいました。
せっかくの水がこぼれてしまい、うめき声をあげています。
チェンは駆け寄って助け、とうとう泉のことを話してしまいました。
「すぐそこの裏山に泉があるから、もう遠くまで水をくみに行かなくていいよ」
泉の話はみんなに伝わり、村人はぞくぞくと水をくみにやってきました。

娘が「これで良かったんだわ」と思ったとき、突然、怪物が現れ、チェンはさらわれてしまいました。
そして「よくも約束を破ったな。命はもらったぞ」といって、チェンを木に縛りつけてしまったのです。

縛った縄がチェンの体に、ジワジワくい込んで痛みます。
そのため、チェンはしだいに弱っていきました。
しかし、後悔はしていません。

すると、そのとき、その木から仙人が現れ、チェンを助けてくれました。
そして怪物に呪文を唱えるやいなや、ツボに閉じ込め、封印してしまいました。
そして仙人は、「娘よ、早くお帰り。ワシはオマエの心の美しさに打たれたのだ」といいました。
それからというもの、チェンと村人はおいしい水に恵まれ、幸せに暮らしたのです。

村人を水不足から救うために、怪物との約束を破りました。
命の危険を冒してまで、村人のために尽くしたのです。
仙人は、チェンの心の美しさに打たれ、チェンを救いました。

自分さえ良ければそれでいい、という利己主義的な考えを捨てましょう。
人のために尽くすことを第一に考えると、人生に幸せの太陽が輝きます。

2020年05月29日