思考の三原則で問題解決 508

安岡正篤(やすおか・まさひろ)は、昭和20年8月15日、昭和天皇によるいわゆる「玉音放送」で発せられた「終戦の詔勅」の草案作成にかかわりました。
また「平成」の元号の考案者でもありました。
昭和の名宰相とされる佐藤栄作首相から、中曽根康弘首相に至るまで、昭和歴代首相の指南役を務め、さらには三菱グループ、東京電力、住友グループ、近鉄グループ等々、昭和を代表する多くの財界人に師と仰がれました。
安岡正篤は、その東洋学に裏打ちされた該博な知識と人物としての魅力によって、日本のトップ・リーダーたちに、わが国の進むべき道を、常に指し示しました。
ここでは、『安岡正篤 一日一言』より、問題解決の「思考の三原則」を紹介します。
私は物事を、特に難しい問題を考えるときには、いつも三つの原則に依る様に努めている。 第一は、目先に捉われないで、出来るだけ長い目で見ること。
第二は、物事の一面に捉われないで、出来るだけ多面的に、出来れば全面的に見ること。
第三は、何事によらず枝葉末節に捉われず、根本的に考えること。
難しい問題を考える際には、成り行き任せの考えだけでなく、いろんな考え方ができるといいのだと思います。
このように問題解決の方策として、長期的・多面的・根本的に思考することです。
長期的とは、目先のことに捉われずに長い目で見ることです。
人生という長い目で見れば、この問題は「小さいことだ」と気づけることがけっこうあるでしょう。
一時の悪い状況を怖れずに、先の先を考えることができれば、決断できることもあるでしょう。
長い目で見れば、無理をせずに一歩引く考え方をしたほうがいい場合もあるのです。
また、どんな問題も人生の中では、いい経験と考えることができるのではないでしょうか。
多面的とは、物事の一面に捉われずに、多面的・全面的に考えることです。
そうすれば、「××もあるけど、○○もある」と考えられることが多いでしょう。
一つの方法がダメでも、「道は一つではない」と考え、他の方法を考えることもできるでしょう。
たとえば、ヒントを探しながら考える、相手の気持ちを考える、人に相談するなどできるでしょう。
根本的とは、物事を根本的・本質的に考えることです。
そのためには、自分にとって何が大切なのか、自分が心から望んでいるのは何か、などと自分の気もちを大切に考えることが大事です。
例えば、仕事で大きな失敗があったとします。
長期的には、このような失敗は起こって当然と考えられ、焦らずに時間をかけ、先のことを想定しながら解決方法を考え、解決することができるでしょう。
多面的には、いろいろな方法を考え、解決に取り組むことができるでしょう。
根本的には、大きな失敗の根本的な原因を見つけ出し、重点的に解決を図ることができるでしょう。
このように、特に難しい問題が起こった時は、「思考の三原則」を思い浮かべ、解決にあたると、上手く解決できるのです。
