怖くても決して逃げない勇気 715


何か行動をしようとする時に、必要なものがあります。
それは、「勇気」です。

勇気とは、普通の人が、恐怖、不安、躊躇、あるいは恥ずかしいなどと感じる事を、恐れずに(自分の信念を貫き)向かっていく積極的で強い心意気のことで、勇ましい強い心を言います。

名作『ライムライト』の中で、チャップリンは、自身の人生を振り返るように、こう語っています。

「人生に必要なのは、勇気と想像力と、ほんの少しのお金」

チャップリンが言うように、人生において、勇気が大きな力を発揮するのです。
ここで、学びの一歩(令和童蒙読本)の「本当の勇気」を紹介します。

二人の子どもがいた。
一人の名はトラと言い、もう一人はクマと言った。
ある日、二人で学校から帰る途中、街中を歩いていた。

トラが、「あそこでケンカしているよ。行って見てみようよ。」と言うとクマは、「僕には関係ないよ。早く家に帰ろう。」と言った。
するとトラは、「君は臆病だから、あそこに行くのが怖いんだ。君が行かないのなら、僕は一人で見に行くよ。」と言って、走って行った。

クマは真っ直ぐに家に帰り、午後またいつものように学校に出かけた。
まもなくトラも学校に出てきたが、多くの子どもたちの前で、クマが臆病だという話をして、みんなでクマのことをバカにしてからかった。
それでもクマは、本当の勇気というのは、自分の行いをつつしみ戒めることだと学んでいたので、少しも怒った様子を見せなかった。

二、三日して、トラは六、七人の友だちと川で遊んでいたが、川の中ほどで溺れてしまい、「助けてくれ」と叫んだ。
その時、クマのことを臆病者とバカにしていた子どもたちは、トラを助けることができず、岸の上からただ眺めているだけだった。

トラはますます危なくなって、今にも沈もうとしていた。
ちょうどクマがここを通り過ぎ、この様子を見てたいそう驚き、急いで服を脱ぎ捨てるや、川に飛び込んでトラの手を取り、やっとのことで岸に上げて、トラの命を救うことができた。

トラと他の子どもたちは、クマを臆病者と呼んだことを恥じ、その後はクマを学校で一番の勇者と呼んで、みんなもクマのことを尊敬した。
こういうことから、クマのような行いこそ、真の勇者と呼ぶのである。

クマの命がけの行為は、本当の勇気なのです。
怖くても決して逃げない勇気なのです。

誰でも勇気を持っています。
その勇気をクマの勇気のように、どんな時も逃げないで強く立ち向かっていける、強い勇気に高めていきたいものです。

2020年07月06日