知った個人の秘密は守ろう 582

信頼できる人とは、知った個人の秘密を守ることができる人です。
個人の秘密を守ることは、相手に対する礼儀でもあり、義務でもあります。
しかし、意外に個人の秘密を守ることができない人が、多いのも事実です。
○友だちから相談されたことを他の人に、気軽に話してしまった。
○お客さんから得た情報を許可なく、公表してしまった。
○内緒にするように頼まれた情報が入ったCDを、紛失してしまった。
○お客に関する個人情報を、誤ってホームページに掲載してしまった。
このようなことが、至る所で起こっています。
謝れば済む問題ではないのです。
一度個人の秘密がオープンになると、どのように活用されるか心配なのです。
個人の秘密を守れない人を、許すことができないのです。
世の中には、たくさんの個人の秘密が、存在しています。
ここで、小学校の事例を紹介します。
子どもが図工の時間に、不要な裏紙を使って作品を作り、家庭に持ち帰りました。
親が作品を見てみると、アンケート用紙の裏紙を使って、子どもが作品を作っていました。
アンケート用紙には、「いやなことを言われたりされたりした」「友だち関係で心配がある」と答えた一年~六年生計二十一名の名字と悩みの内容、いじめたとされる児童一名の名字が書かれていました。
児童の名字を挙げた上で、「いきなりけられた」「グーパンチされた」「仲間に入れてもらえなかった」など、具体的な回答がまとめられていました。
親は、驚きすぐにこのことを小学校に知らせたのです。
アンケートは、九月に実施され、養護教諭が集計し、コピーを校長・教頭・生徒指導担当教諭が所持していました。
それが、裏紙として使う再利用ボックスの中に、紛れ込んでいたのです。
学校が取り扱う多くの個人情報の中でも「いじめ」に関する情報は、最も厳重に管理すべきなのです。
子どもたちは、「暴力」や「仲間外れ」というつらい体験を、勇気を振り絞り学校を信じて告白したはずです。
それが無造作に扱われ、流失したことになると、子どもたちの必死の思いが、裏切られたことになります。
ぜひ再発防止に、学校は真剣に取り組んで欲しいと願います。
学校側の大きな問題は、個人情報を軽く扱っていることです。
そのことは、子ども一人一人を大切にできていないのかもしれません。
個人の秘密を守ることは、人を愛情持って、大切にすることなのです。
個人の秘密をどれだけ守ることができるかが、どれだけ人を愛することができるかのバロメーターでもあるのです。
