悪事を自分自身が見ている 722

アメリカの初代大統領ワシントンに、こんな逸話があります。
ワシントンが子どもだった頃、彼は、あやまって父が大切にしていた桜の木を、切ってしまいました。
「お父さんに、ひどく怒られるだろうな」と、ワシントンは思いました。
幸い、まわりには誰もいません。
このまま黙っていれば、自分が桜の木を切ったと、父親に知られないですみます。
しかし、ワシントンは、自分が桜の木を切ってしまったことを、正直に父親に告白しました。
ワシントンは、叱られるのを覚悟していました。
ところがワシントンの父親は、怒るどころか、「おまえはよく正直に告白した。偉いぞ」とほめてくれたのです。
ワシントンは、黙っていれば、怒られることはなかったのに、正直に謝りました。
しかし、誰も見てなければ、知らないふりをする人が、いるかもしれません。
ここでブッダの教え(蛇の章・浅ましい人)を紹介します。
悪いことをしておきながら、誰も見ていなかったのをいいことに、「私がしたことが、誰にも知られませんように」と祈り、悪事を隠している。
このような人は「浅ましい人」であると知りなさい。
人間は、弱い存在です。
しかし、もし責任から逃れられるならば、逃れたいと思ってしまいます。
そんな人は、浅ましい人なのです。
昔の人は、「お天道様が見ている」「神様が見ている」と言いました。
仮に、お天道様も、神様も見ていなかったとしても、自分自身が見ているのです。
自分の意識だけは、ごまかすことはできません。
しだいに自分の心の中の罪悪感が、大きくなっていきます。
そのマイナスエネルギーが、自分を包み込むようになります。
そして、マイナスの出来事を、自分に引き寄せることになります。
そのような泥沼から、決して逃れることができないのです。
悪事をした時は、ワシントンのように、勇気を出して正直に謝りましょう。
償えば、自分の心が明るくなり、救われるのです。
