簡単なことから頼もう 750


知っている人で、とても頼み上手な人がいます。
その人が頼むと断れずに、頼まれたことをやってしまいます。

はじめは簡単な頼みなので、気軽に引き受けます。
何回も頼まれるうちに、頼まれる内容が、徐々に難しくなります。
今まで何回も頼みを引き受けてきたので、難しくてもついついやってしまうのです。

頼み上手な人は、このように頼みかたのコツを知っているのです。
ここで、スタンフォード大学、社会心理学者ジョナサン・フリードマンとスコット・フレイザーの実践を紹介します。

仕掛け人は、ボランティアと称して、住宅街の家庭を訪ねました。

【Aチームの仕掛け人】
玄関先に「安全運転をしよう」という看板を設置させて欲しいとお願いする。
〈実験結果〉
17%の家庭は、承諾した。

【Bチームの仕掛け人】
「カリフォルニア州を美しく保とう」という嘆願書の署名をお願いする。(ほぼすべての家庭が承諾した)
その後2週間後に、玄関先に「安全運転をしよう」という看板を設置させて欲しいとお願いする。
〈実験結果〉
約50%の家庭は、承諾した。

【Cチームの仕掛け人】
玄関先に「安全運転をするドライバーになろう」という小さなシールを貼らせて欲しいとお願いする。(ほぼすべての家庭が承諾した)
その後2週間後に、玄関先に「安全運転をしよう」という看板を設置させて欲しいとお願いする。
〈実験結果〉
76%の家庭が、承諾した。

実験結果が、大きく違うのに驚くばかりです。
看板設置だけの頼みでは、17%の家庭が承諾し、かなり厳しい結果になりました。
次に看板とは関係ない嘆願書の頼みをして、看板設置の頼みをすると、約50%の家庭が承諾し、効果がありました。
さらに、看板と関係の強い安全運転の小さなシールの頼みをして、看板設置の頼みをすると、76%の家庭が承諾し、かなりの効果がありました。

このことから、何にもしようとしない子ども、家事を手伝わない夫、何でも部下任せの上司、自主的に動いてくれない部下などに、「簡単な事から頼んでみる」価値があると思います。

「自分の机だけ片付けて」「洗濯物の取り入れだけ手伝って」「今度の会議だけは、ちょっと顔を見せて下さい」「この荷物を別の場所に運んでね」など、頼んでみましょう。
簡単な事を上手に頼めるようになると、自分自身が頼み上手に、変わってくることでしょう。

2020年08月10日