劣等感をバネに強く生きる 739


高校生に入学した頃の話です。
親元を離れ、高校の寮に入り、生活していました。

ゆっくりと過ごしていた所に、寮の監視をされる寮長さんが、私に近づいて来ました。
のんびりとしている私に向かって、次の様な言葉を言われました。

「あなたは、今度入学した生徒の中では、入試の成績はビリだったので、しっかり勉強を頑張りなさい。」と告げられたのです。
おそらく寮長さんは、励ましのつもりで言われたのでしょうが、言われた方は、驚き勉強に対する劣等感を、抱いてしまいました。

入学当初の成績は、勉強もしなかったので、かなり悪い成績でした。
さらに寮長さんの言葉にショックを受け劣等感で、全くやる気が起こらなかったのです。

そのうちしだいに、劣等感から、寮長さんに対する怒りが、込み上げてきました。
そして、絶対寮長さんを見返してやると決心すると、不思議なことに勉強に対するやる気が込み上げてきました。

それからは、休み時間も惜しんで、必死に勉強しました。
おかげで高校での成績は、上位に位置するようになりました。

当初は、恨みを持っていた寮長さんに対して、しだいに感謝の思いに変わっていきました。
劣等感をバネにして、意欲的に勉強することができたのです。

アメリカの実業家で、鉄鋼関係の仕事で大成功をおさめたことから、「鉄鋼王」と呼ばれていた人物に、アンドリュー・カーネギー(19~20世紀)がいます。
彼は、大変貧しい家に生まれ、スコットランドからアメリカに移住しました。
そこでも学校にも行けず、家のために少年の頃から働きました。

彼は、貧乏という劣等感を、自分の人生の味方にすることを学びました。
そこで、「事業で成功して、大金持ちになってみせる」という強い願望を持つようになり、一生懸命働き、ついに「鉄鋼王」と呼ばれるまでに成功したのです。

カーネギーは、「金持ちになるには、貧乏の家に生まれることである」という言葉を残しています。
この言葉は、貧しい家に生まれた劣等感をバネにして、より良い未来を作る力に替えれば、劣等感は人生の力強い味方になってくれる、と教えています。

誰にでも劣等感はあります。
自分の劣等感と正面から向き合いましょう。

「劣等感があるからこそ、私は強い人間になれる」と信じましょう。
劣等感は、人生の宝になるのです。
劣等感をバネに、強く・逞しく生きていきましょう。

2020年07月30日